エビス工房では主軸の『プラスチック加工・グラフィックデザイン』の他に、つまみ細工という日本伝統工芸品の製作にも力を注いでおります。
このつまみ細工とは、正方形の布をピンセットでたたんで、糊をつけて花びらの1枚を作ります。
この花びらを何枚も作り花を形つくっていく作品です。
時にはお花だけではなく、昆虫やお魚、動物や食べ物などにも変身します。
正方形の小さな布が幾重にも集まり、形を成していくのが、私の中ではたまらなく面白いのです。
布も決して、正絹や縮緬でなくても良いのです。時にはデニム、時には革、和紙や着なくなったお気に入りのお洋服からも作れます。
おおよそ3センチ程度の布5枚で、1輪のお花が出来上がるのです。
つまみ細工の歴史としては、諸説ありますが、江戸時代の中期に女官の方々が和服の裏地などの余り布を用いて作ったのが始まりのようです。
その後、江戸に伝わりたくさんの職人さんが切磋琢磨し、江戸へ来た人たちのお土産として重宝されました。
当時の浮世絵でも女性たちがつまみ細工のかんざしを着けていたりと、かなり大流行だったのが見受けられます。
明治には女学校で専門の科がつくられたりと、女性の手習いとしても広まっていきました。
大正・昭和と日本髪を結う人も減り、髪を彩ることは減っていきましたがつまみ細工の技法で絵画を描いたり、日常の小物につまみ細工を施したりと、
各地で途切れることなく、現在までこの技法は少しずつ時代に合わせ進化しているのです。
現在でも成人式、七五三、結婚式などと晴れの日にはつまみ細工のかんざしが女性の髪を彩ってくれています。
そんな古くて新しい伝統工芸を少しでも、これからの人たちに残せたらいいなぁと密かにエビス工房はたくらんでいるわけです( ^ω^ )